小噺

彼女は生まれたときから一人だ。
気づいたら親も兄弟もいなかった。
ろくにしゃべれもしない。
けどとても綺麗な目をしている。


彼女は見たことのない風景を見るのが好きだ。


僕らは皆、未知のものを恐れている。
それなのに彼女はそれを心から喜んで受け入れる。
思いをめぐらせないこと、
それでいて感動すること。


それが彼女の強さで、優しさなのだ。